「幼児に対する教育的なもの」を言おうとしたときに、
- 幼児教育
- 早期教育
- 知育
といった言葉が見当たります。
これらは似ているようで微妙に内容が異なっている上に、人によっては使い方が間違っていたり、少しずれていたりすることもあります。
また、世の中には幼児教育向けの教材や早期教育を謳う教室、知育玩具といったものがたくさんあり、幼児の教育に少しでも関心のある親ならばついつい説明を聞いたり手に取ってみたりしてしまいます。
個人的には「幼児に対する教育的なもの」の言い方にはそこまでこだわる必要はないと思っていますし、どの教材やどの玩具を使おうと使うまいと、根本的な部分が間違っていなければ子供は健やかに育ってくれるものと思っています。
ここでは、上記の3つの言葉の意味を一応確認するのとともに、幼児期の教育において必ず押さえておきたいポイントを再確認していこうと思います。
目次
幼児教育・早期教育・知育の意味と違い
それぞれの言葉の意味は以下の通りです。
ことば | 意味 |
---|---|
幼児教育 | 幼児期の子供に対して行う教育のこと。目先の結果のみを期待しているのではなく、生涯にわたる学習の基礎を作ることを重視している。 |
早期教育 | 受験や専門的な技能の習得を目的として、知的能力や芸術・運動などに関する教育を早い段階からしていくこと。 |
知育 | 知的な能力(自分で考える力)を育てる教育のこと。徳育や体育、美育などと並んで用いられる。また、教育の時期は幼児期に限らない。 |
幼児教育と早期教育は、教育する時期はほぼ同じと言えますが、その目的は大きく異なっています。
幼児教育は生涯にわたる学習の基礎の養成を目的としているのに対し、早期教育はどちらかというと目先の受験や技能の取得に重きが置かれています。
次に、幼児教育と知育を比べてみます。
幼児教育は幼児という言葉が含まれているように、幼児期に限定されます。
一方で知育は年齢を問いません。ただ、「幼児向けの知育」という意味で「知育」という言葉が使われていることが多いようには思います。
また、幼児教育は知的な内容以外にも運動面や道徳面などを含みますが、知育は知力面に限定されています。
どちらが良い、どちらが悪いということではなく、こういった違いがあることを知っておいて損はないでしょう。
「幼児に対する教育的なもの」で必ず押さえておきたい要点
教育に「たった一つの正解」みたいなものは無いと思っていますが、これは押さえておきたいというポイントがあります。
そして幼児向けの知育の場合には、それは以下の5つに集約されるのかなと考えています。
- 目的意識を持つ
- 子供と楽しむ
- 子供のやりたいようにさせる
- 適度な会話
- 褒める
順番に詳しく書いていきますね。
目的意識を持つ
何のために幼児に対して教育を施すのかといえば、
- 子供が社会に出ても困らないようにしてあげたい
- 子供が将来、より良く生活していけるようにしたい
- 子供に楽しい人生を歩んでもらいたい
からだと思います。
これについては『幼児教育とは?その目的は? ― なぜ幼児教育が大切なのか』にも書きました。
もちろん、違っていても構いません。ようは、目的がありますよね、ということです。
もし目的も持たずに「とにかく幼児教育しなきゃ…知育が大事…」なんてなっているとしたら、一度立ち止まって目的を考えてみてください。
目的意識をしっかりと持っていないと軸が無いようなものですから、簡単にブレてしまいます。
子供と楽しむ
個人的にはこれが一番大切だと思っています。
とにかく楽しむことです。
子供は楽しければやるし、つまらなければやりません。
幼児教育も知育も、親子一緒に楽しんでできていれば子供はそのやっていることが好きになります。
好きになればどんどん積極的に取り組むようになります。
好きこそ物の上手なれということわざもあるように、好きなことはすぐに上手になります。
内容は何だっていいと思います。
○○をやったからどうなる、という単純な話であればとっくに統計が出ているはずですが、そういったものは見当たりませんよね。
楽しく遊びながら、色々なことに気づき、考え、学んでいく、その過程が大切なのだと思います。
子供のやりたいようにさせる
玩具には遊び方があります。
しかしそれは大人が勝手に想定して決めた遊び方に過ぎません。
子供が予想外のことをし始めたとしても、基本的には見守ってあげましょう。
むしろ、親の常識を飛び越えた発想を幼いながらにしているわけですから、驚いて褒めてあげるべきです。
「これはこうしないとダメ」と決めつけてしまうと子供にとっても親にとっても楽しくありませんし、マイナスの影響の方が大きいと思います。
危険な行為以外は子供のやりたいようにさせてあげて、もし危険そうであれば、ちゃんと理由を説明して「○○だからダメなんだよ」と教えてあげましょう。
適度な会話
会話を通じて物事をどう言葉で言い表すのかが子供に伝わります。
まだ言葉をほとんど発しない時期であれば、邪魔にならない程度に話しかけてあげましょう。
言葉を発するようになってきたら、子供の発言を拾いつつお話ししていきましょう。
いずれも、
- 「○○できるんだ、すごいねー」
- 「○○してるの?」
- 「これは○○って言うんだよ」
といった他愛のないものでいいと思います。
名詞を1つ入れて、それが何を指しているのか分かるように言ってあげると良いです。
黙々と集中して遊べるようになってきたら、話しかけ過ぎないようにはしたいところです。
見守りつつも、話しかけてきたら答えてあげる、という形でも良いと思います。
状況に応じて適度に会話を楽しみましょう。
もちろん、一人で遊べるなら一人で遊ばせる時間もあっていいと思います。
「完全放置」と「付きっきり」の間のちょうどいいところを上手く見つけることが大事ですね。
褒める
褒められると嬉しいんです。
大人だって嬉しいんですから、子供ならなおさら嬉しいです。
また、褒めてる方も気持ちがいいです。
褒め慣れていないと最初はぎこちないかもしれませんが、慣れてくればポンポン褒められるようになります。
どんどん褒めてあげましょう。
最後に
色々と書きましたが、慣れてくれば特に意識せずとも「教育的に良い接し方」ができるようになってきます。
でも何かの拍子に少しずつずれていくこともありますから、たまに見直してみる、考え直してみる、といったことも必要だと思っています。
ちなみにうちの子(1歳3ヵ月)は今日は缶詰で遊んでいました。
形の違う缶詰4つを使って何を考えていたのかは分かりませんが、ひとしきり遊んで満足できたようでした。
大きさや重さの違い、見た目の違い、積めるのか、転がるのか…幼児にとっては缶詰からでも学べることがたくさんあるのです。
遊び終わったタイミングで「お片付けしようね!」と声をかけたら、ちゃんと一つずつ台所まで持ってきました。
缶詰の元あった場所を教えつつ、そこに置くように促せばちゃんと置けます。
ここでしっかり褒めてあげたら満足げ頷いて、別の玩具に向かっていきました。
冒頭にも書いたように、何だって教育の材料になり得るのです。
ポイントを押さえて、幼児教育を楽しんでいきたいですね。